ハーバード大学のマーク・ラムザイヤー教授による論文 “On the Invention of Identity Politics: The Buraku Outcastes in Japan (でっちあげられたアイデンティティ・ポリティックス:日本の部落アウトカースト) に対してIMADRは大きな疑念と深い懸念を抱きます。そのため、この論文に対する私たちの考えを人権と反差別の立場から明確に示す声明をだすことにしました。声明には、マイノリティの権利のために協働してきた国際ダリット連帯ネットワーク(IDSN)とマイノリティ・ライツ・グループ・インターナショナルの賛同をえることができました。
参考までに、以下にこの声明が問題視しているラムザイヤー論文の要旨を掲載します。
ラムザイヤー論文の要旨 (IMADR 仮訳)
14の国勢調査と多種多様なじかの証言を用いて、私は日本のアウトカーストに対して大部分が虚構からなるアイデンティが作られ、彼らの名ばかりの人権団体が(いくつかの極めて重要な側面において)恐ろしい恐喝マシンへと変貌していったことを追跡する。学者たちは長い間、アウトカースト「部落民」を前近代の皮革労働者ギルドの子孫であると説明してきた。部落民は、彼らの祖先が死骸を処理していたこと、そして日本の伝統的な浄の観念に反していたことによる差別をうけている。だが実際には、ほとんどの部落民は革職人の子孫ではなく、明らかに機能不全の規範を持つ貧しい農民の子孫である。一部の人びとは浄の不安より彼らを敬遠してきたかもしれないが、間違いなく、人びとは彼らの犯罪への関わりや崩壊した家族構造のために彼らの多くを敬遠してきた。部落の現代的な変容は自称ボリシェヴィキが部落「解放」組織を立ち上げた1922年に始まった。彼らは、この団体をマルクス主義の歴史的な図式に収めるために、皮革労働者のギルドという架空のアイデンティティをでっちあげ、それが今日まで続いている。次に猛烈なアイデンティティ・ポリティックスが続いた。2、3年も経たない内に、犯罪者の企業家たちがこの組織を乗っ取り、偏見に対する暴力的な糾弾と多額の金銭要求を組み合わせたゆすりの策略を開拓した。地域からの流出と補助金のうなぎ昇りが後に続いた。この論理は、ベッカーとハーシュマンによる経済論理をそのままたどっている:これまでにない巨額の補助金を与えられ、機会コストが最も低い被差別部落民は部落に留まり、犯罪者としてのキャリアに投資するという、かつてない大きなインセンティブを目の前にした。この策略が招いた社会の敵対心を考え、最も高い合法的なキャリアの選択肢をもつ部落民はコミュニティを捨て、一般人にまぎれていった。
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